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報告, Reports, 慢性疾患は、患者自身が疾患の急性増悪を起こさないようにコントロールすることが重要であるため、看護師が行うセルフマネジメント支援の重要性は大きい。しかし、看護学生にとって、患者のセルフマネジメント力向上の支援をするために、患者と向き合い患者の体験を知るための対話を行うことは難しい。そこで、Ａ大学慢性看護学領域では、慢性疾患を有する人のセルフマネジメント力向上の支援をするために、シナリオを用いた対話学修を学内実習として導入した。 学生は、本学内実習での患者役体験から、看護師の問いかけ方で患者に生じる感情が異なることに気づき、自身のコミュニケーションが患者の体験を知るための対話となっていたか考察を深めることができていた。学生からは、ディスカッション時間の延長を希望する意見があった。今後の課題は、学生の思考がより深まるようにディスカッションの時間配分をはじめ本学内実習全体の構成を検討することである。

報告, Reports, 統合実習は臨床実践の中で必要な基礎的な知識と技術を統合的に体験するために重要であるが、初めて複数の患者を受け持つため困難感を抱く学生も多い。そこで本学の慢性看護学の統合実習では、2021 年度より学生の臨地における「気づき」を言語化し、さらに他者からの刺激によって自身の気づきが何だったのかを整理して他者に伝えることで学びを促進させる「学びのシェアリング学修」を取り入れた。本学修による効果を高めるために２年次の講義・演習・実習から、学生が安心して自分の考えを表出できる環境を整えるなど段階的な学びを構築したことにより、本学修では学生同士による主体的で活発なディスカッションが行われた。本学修は、学生が臨地における経験を振り返り、実践出来たことや気づきについての学生の思考発話（think aloud）を促し、将来看護職として学び続けていく力を育むためにも非常に重要である。

報告, Reports, 成人・慢性看護学領域では、現在、講義・演習・実習科目の連動性や段階的な学びを意識した教育内容への見直しを進めている。統合実習については、2020 年度より、臨地実習と学内演習との連動性や段階的な学びを意識した教育活動を実施した。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により臨地実習日数の短縮などがあったが、実習プログラムの大幅な変更をすることなく、実習はでき、実習目標も前年度と同様としたが、学生は実習目標の達成がおおよそできた。教員は、今後も実習や教育形態が変化しても教育の継続性、質の保証がなされるように変化に備えた教育方法の検討を重ねる必要がある。また、こうした教育活動に対する評価を行っていくことが今後の課題にある。本報告では、2020 年度の統合実習（成人・慢性看護学領域）における教育活動の実際と、今後の課題について報告する。

報告, Reports, 2020 年度は、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の感染拡大により、多くの看護系大学において、臨地実習の中止または変更を余儀なくされ、本学でも実習施設の方針により5、6 月の臨地実習は中止となった。そこで、慢性看護学領域では、臨地実習に代わる学修方法として、学修の質を担保しつつ感染を拡大させないためにオンラインによる遠隔実習プログラムを構築した。オンデマンド視聴覚教材やe-learning システムを活用し、臨地実習と同様の学修ができるように計画し、実践した。学生の到達度や満足感として、臨地実習と比較し大きな変化はみられなかった一方で、臨床現場における緊張感や感情面での情緒的な学びを得られにくいという課題が挙げられた。今後、Society 5.0 に向けICT（Information and Communication Technology）教育の推進が求められておりオンラインを活用した教育は非常に重要となることが予測される。遠隔実習がより効果的な学修につながるように今後も検討を重ねていきたい。

本研究は,看護学部3年次生79名を対象に,慢性看護学実習への導入として,慢性病患者とその看護に対するイメージを深めることを目的に,学生が慢性病患者と看護師役を演じるロールプレイング演習を行い,その効果について検討したものである。演習の効果は,前後のアンケート調査により評価した。その結果76名の学生から回答が得られ,ロールプレイングにより1)慢性病患者の生活・気持ちイメージを変化させ,慢性病患者に対するイメージの広がりをもたせた。2)慢性看護に対する理解を深め,興味・関心を強めていた。3)慢性看護実践に対する意欲を高めた一方で,不安を抱いた学生もいた。これらのことは臨地実習における慢性看護実践への準備性を高めるものであり,臨地実習前のロールプレイングによる慢性看護学演習は有用であると考えられた。, The purpose of this study was to evaluate a chronic nursing practice in which we used role-play to prepare for a clinical practicum with nursing students who were in the third year of a four-year nursing degree course. We conducted a chronic nursing practice in which students undertook the roles of both the patient and the nurse. To evaluate the educational effects of the practice, we administered questionnaires to the students both before and after the practice. We collected 76 valid responses. The findings were as follows: 1) most of the nursing students changed their images regarding the life and emotions of chronic patients ; 2) most of the students reached an understanding of chronic nursing and were interested in it ; 3) most of the students showed their motivation but some showed their anxiety to chronic nursing. We found that the chronic nursing practice using role-play was effective to promote readiness for the clinical practicum where the nursing students provide care to chronic patients. As the role-play under the situation of chronic nursing gave the students insights into the patients and nursing it self, it enabled them to understand chronic nursing more deeply than before the practice.

本研究は,教員による模擬糖尿病患者-看護師によるロールプレイを取り入れた慢性看護学演習を行い,その効果と課題について考察したものである。演習は,看護学部2年次生79名を対象に糖尿病看護に関する講義の後,(1)慢性病患者に対するイメージを深める,(2)慢性病患者に対する患者教育として重要なエンパワーメントアプローチについて理解する,の2点を目標として,セルフケアに意欲を持てない事例を設定し,指導型アプローチとエンパワーメントを目指したアプローチの2場面のロールプレイを行った。演習の効果は講義前と演習後にアンケート調査を行い評価した。その結果77名の学生より回答が得られ,1)学生は糖尿病の合併症やセルフケアの大変さ・複雑さに対する理解に基づいて患者イメージを深化させていた。2)エンパワーメントを強化する患者教育について理解していた。このことから,模擬患者を活用した慢性看護学演習は有用であると考えられた。, The purpose of this study is to evaluate an education program in which we used a simulated diabetes patient to teach diabetes care to nursing students who were in the second year of a four-year nursing degree course. We planned an education program consisting of lectures and nursing practice. One teacher played the role of a nurse and another played the role of a diabetes patient. The nursing students observed 2 scenes. In one scene, the nurse provided information and in another, the nurse oriented the patient toward empowerment. To evaluate the educational effects of the program, we conducted questionnaires to the nursing students both before and after the program. We collected 77 questionnaires from the nursing students. The findings were as follows: 1) Most of the nursing students changed their images of diabetes, having realized that (a) diabetes complications were various and serious and self-care was complex and heavy, and that (b) diabetes patients would have many burdens; 2) The students came to attach importance to the empowerment approach in patient education. We found that an approach to teach diabetes care using a simulated patient was effective to promote understanding of chronic nursing. As this program demonstrated the model of a chronic patient and a nurse played by teachers, it allowed the nursing students to take it with a sense of reality.