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乳腺アポクリン癌からの化生を示唆する紡錘細胞癌の1例を経験した.症例は78歳の女性で,左乳房腫瘤を主訴に来院した.術前はアポクリン癌を疑い術中迅速病理診断にて癌を確認し胸筋温存乳房切除術(Bt+Ax+Ic)を施行した.組織学的には紡錘型細胞よりなる肉腫様部分とアポクリン化生を示す癌腫部分がほぼ半分の領域を占め,さらに両者の漸次移行部も認められた.アポクリン化生癌からさらに紡錘細胞癌が発生したものと思われた.リンパ節転移なし,ホルモン・リセプター(ER・PgR)はいずれも陰性であった.術後8年1カ月経過するが再発兆候は認めない.

今回われわれは, S状結腸腹膜垂が索状となった絞扼性イレウスの1例を経験したので報告する.症例は71歳,女性.下腹部痛にて近医を受診,入院のうえ保存的に経過をみていたが,症状軽快せず, CTで右下腹部腸管の膨隆を認め,腹水もみられたため,絞扼性イレウスの診断にて当科紹介され,転院となった.当科入院後の腹部超音波検査でも右下腹部の腸管が限局して緊満しており腹水も認め,腸管の絞扼が疑われたため,同日緊急手術を施行した.開腹したところ, S状結腸腹膜垂が膀胱前壁と癒着して索状となり,回腸末端より40cmから130cmの腸管が絞扼されていたため,同部回腸を切除した.術後経過は順調であった.腹膜垂が原因となってイレウスをきたした症例は極めて稀と考えられ,本邦報告例を集計し文献的考察を加えたので報告する.