Search

活性炭吸着溶離及びDowex 2 (Cl-型)イオン交換樹脂クロマトグラフィーにより, P32ラベルビール酵母から分泌されたヌクレオチッドの分劃を行ない,次のような結果を得た. (1)分泌ヌクレオチッドにはポリ-,オリゴ-,モノ-ヌクレオチッドが夫々含まれ,量的にはオリゴ(37.2%0), ポリ(30.6%),モノ(24.2%)の順に多い. (2)モノヌクレオチッドにはAMP, GMP, CMP, UMPのいずれもが見出されるがプリン対ピリミジンの比は2.5でプリンヌクレオチッドの方が多い.又その大部分は2'-又は3'-ヌクレオチッドであると推定される. (3)放射能の分布は大体に於いて紫外部吸収物質の分布と平行する. (4)ヌクレオチッド以外の核酸系物質やアミノ酸等の分泌は量的には非常に少ない.以上の諸結果に基づき分泌ヌクレオチッドの由来につき若干の考察を試みた.

清酒醸造と酵母の生理的性質の関係を知るため,山廃,速醸の各酒母から遠心分画法により酵母を分離し,その生理的性質を比較し,また酵の状貌とその中の酵母の形体につき観察を行い次のような結果を得た。1) 麹汁及び合成培地を用い,乳酸1%, 2%,アルコール10%,アルコール10%一乳酸1%添加時の生育曲線を山廃酒母から分離した酵母“山廃酵母”と速醸酒母から分離した酵母“速醸酵母”について比較した。アルコール,乳酸いずれの場合も添加の影響はlag timeの延長,最高生育度の低下として表われたが,一般に“山廃酵母”の方が速醸酵母よりも強い生育阻害的影響を受けた。2) クエン酸緩衝液IncubationによるUV吸収物質の分泌能は“山廃酵母”の方が“速醸酵母”よりも大であった。3) 丸冷期の山廃,速醸両酵母の細胞内燐酸化合物の分布を比較すると,全燐酸含量及び酸溶性,脂質燐含量で速醸の方が山廃よりも大きかったが,特に脂質燐は3倍近く多かったのが注目される。枯し12～14日で丸冷期よりもよりも“速醸酵母”では10%“山廃酵母”では25%位全燐酸含量が減少した。また,“山廃酵母”のポリ燐酸区分の減少は約60%に及んだ。4)酵から分画分離した酵母のシスティン脱硫能は若い膠のものの方が活性が高い傾向がみられた。5)太平山醸造元では人為的な操作を加えない限り,一般に“速醸酒母”を使用した場合は坊主酵に,山廃酒母を使用した場合は蓋酵になり易いが,前者の場合には酵熟成時に35～50%の死細胞出現率が観察された。以上のような諸結果から,山廃,速醸両酵母の性質の重要な相違の一つは両者の細胞の透過系に求められるのではないかと考えられた。この研究の遂行に当り終始御協力下された小玉合名会社技師小玉正次郎,京野忠司の両氏はじめ試験室の諸氏並びに現場の諸氏に心から感謝する。なお,この研究費の一部は昭和35年度日本醸造協会研究奨励助成金によった。

(1) ビール酵母をM/100～M/10程度のクエン酸緩衝液を添加した合成培地で静置培養すると,その生育のlag timeが延長し,最高生育度も低下した.それとともに培地中に分泌されるUV吸収物質の量も最高で50%余り増加した. (2) この現象は窒素源を硫酸アンモンの代りにカザミノ酸,アスパラギン酸にして培養しても認められた. (3) メチオニンを添加して培養しても著しいUV吸収物質の蓄積があるが,その約半分はS-アデノシルメチオニンであった. (4) 振とう培養では静置培養よりもクエン酸緩衝液添加の影響が顕著に認められた. (5) Mg++欠乏下で培養すると,最高生育度は低下してもlag timeの延長, UV吸収物質の分泌量の増大は認められなかった. (6) ブドウ酒酵母の場合,クエン酸緩衝液添加による増殖抑制, UV吸収物質の分泌促進効果は静置培養ではあまりはっきりしないが,振とう培養では分泌促進に関しては有効であった.

ビール酵母をクエン酸緩衝液添加硫安培地(窒素源を硫酸アンモンとする合成培地)で培養した場合に培地中に分泌されるUV吸収物質を活性炭吸着-アンモニア・エタノール混液溶出, Dowex 1 (ギ酸型)によるイオン交換樹脂クロマトグラフィーにより分画し,次のような結果を得た. (1) 静置培養時の分泌UV吸収物質のうち約25%はDowex 1に吸着されない非ヌクレオチド性のものであった. Dowex 1吸着区分はその70%あまりがCMP, AMP, GMP, UMPのモノヌクレオチドであり,その外にも未同定の少量の溶出区分が4つあった.ヌクレオチドのモル比はAMPを1とすると, CMP O.73, GMP O.93, UMP 1.40であった. (2) 振とう培養時の分泌UV吸収物質について同様の実験を行なった. Dowex 1非吸着区分は約22%,これは主にヌクレオシドであった.吸着区分の溶出パターンは分離がよかったため多数のピークが出現したが,基本的には静置培養の場合と同様モノヌクレオチドであった,モノヌクレオチドの組成も静置培養の場合と大差なかった. 5'-ヌクレオチドはGMPを除く各モノヌクレオチド区分に検出されたが,その割合は全体の20%足らずであった. 前報並びに以上の分析結果に基づいて分泌機作について考察し,分泌物は増殖中の酵母のRNAの分解物であろうと推定した.

The dark-aerobically grown Rhodopseudomonas spheroides cells, which has no photosynthetic pigments, commenced to synthesize bacteriochlorophyll and carotenoids without detectable growth when the cells were transfered to dark semi-anaerobic incubation conditions. The level of δ-aminolevulinic acid synthetase increased over fourfold during the incubation. The induced synthesis of the pigments was almost completely inhibited by the addition of either acriflavin (2:8-diamino-10-methyl-acridine), chloramphenicol, mitomycin C or phleomycin to the incubation medium. The synthesis was also inhibited by actinomycin D and 8-azaguanine to considerable extents. The induced synthesis of δ-aminolevulinic acid synthetase, however, was scarcely affected by mitomycin C or phleomycin, whereas the synthesis was completely inhibited by chloramphenicol and acriflavin. The induced formation of catalase (H 2 O 2 : H 2 O 2 oxidoreductase, EC 1.11. 1.6) in light-anaerobically grown R. spheroides cells (brought about by incubating the cells under vigorous aeration) was not inhibited by mitomycin C but was inhibited by chloramphenicol and acriflavin. When mitomycin or acriflavin was added to the incubation mixture after the synthesis of pigments had commenced, the inhibition of the pigment synthesis became apparent only after an insusceptible period of about one hour, whereas the inhibition of δ-aminolevulinic acid synthetase began immediately after the addition of the inhibitors. The cells synthesizing photosynthetic pigments under dark semi-anaerobic conditions actively incorporated the radioactivity of [ 14 C]uracil into the DNA fraction as well as into the RNA fraction of the cells. The incorporation of radioactivity into both RNA and DNA was completely inhibited by acriflavin. Mitomycin inhibited the incorporation into DNA by 96%, whereas the inhibition by mitomycin of the incorporation into the RNA fraction was only 30%.