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ジチゾンクロロホルム溶液を内部指示薬としてモリブデン酸を硝酸鉛溶液で直接滴定する方法を検討した。酸化モリブデン (IV) 約10～70mgを含む試料溶液に酢酸アンモニウムを加え, 酢酸を用いてρHを4.8～5.5に調節する。これに0.03%ジチゾンクロロホルム溶液1mlを加え, 0.Ol～0.05mol/l硝酸鉛溶液を滴下してモリブデン酸鉛を沈殿させ, ジチゾンが紫色を経て赤紫色となる点を終点とする。ジチゾンの溶媒としてはクロロホルムがもっともよく, 四塩化炭素がこれにつぐ。ベンゼン, トルエン, キシレンなどは変色が緩慢で連続的であるため滴定の終点が捕捉し難く, 溶媒として不適当である。K+, Na+, Mg2+, およびNi2+はそれぞれ100mg共存しても滴定に差し支えない。Cu2+, Co2+, Zn2+, Al3+, Fe3+, Ca2+, Sr2+, Ba2+ イオンは妨害するが, あらかじめ強酸性陽イオン交換樹脂 (Amberlite IR-120, 100～200メッシュ) を用いて分離することにより, その妨害を容易に除去することができる。

The major elements and the minor elements cadmium, chromium and vanadium in 12 samples of shallow-water deposits collected in Tokyo Bay were studied. Average silica content of the deposits is 53.93%, which is approximate to the average of 54.15% of red clay. Iron (av. 5.67% Fe2O3), titanium (av. 0.71% TiO2), especially manganese (av. 0.87% MnO), are more abundant in the deposits than in the deposits along the entire sea-coasts of Honshu and of Nanao Bay, Japan. The deposits show higher contents of cadmium (av. 0.61 ppm), the chromium (av. 86 ppm) and vanadium (av. 79ppm). About 3 to 17 times cadmium and manganese contents compared with those in the deposits along the sea-coasts of Honshu and of Nanao Bay, Japan was found. Such accumulation, of cadmium and manganese in the deposits is probably caused by artificial contamination rather than of natural origin. No relation was found between the contents of cadmium, chromium and vanadium and those of major elements.

微量のアンチモン(III)とスズ(IV)を金属水酸化物を捕集剤として共沈分離し,ボーラログラフにより同時定量する方法を検討した。捕集剤としてベリリウム,マグネシウム,アルミニウム,クロム,ジルコニウム,ランタン,セリウム,トリウムの水酸化物を調べたところ,水酸化トリウムがもっともすぐれており,微量のアンチモンとスズを完全に共沈捕集することができるのを知った。さらにこれらをポーラログラフ法により同時定量するのに適した支持電解質を種々調べた結果,ほぼ1N塩酸が適当であるのを認めた。 これから,アンチモンとスズをそれぞれ20-250μgを含む30-1000mlの溶液にトリウム100mgを加え,アンモニア水でpHを10に調節して水酸化トリウムを沈殿させ,これらの金属を捕集する。この沈殿を2N塩酸12.5mlに溶解し,0.5%ゼラチン溶液0.5mlを加え,全容を25mlに希釈する。この溶液についてポーラログラムをとり,5%以内の誤差でアンチモンとスズを同時定量することができる。

サリチルアルドキシムによるニッケルの抽出吸光光度定量法について検討し,さらに銅とニッケルの逐次抽出定量を試みた。ニッケルのサリチルアルドキシム錯体はクロロホルムに抽出され,波長387mμ に吸収極大を示し,pH8.5～9.4の範囲内で定量的に抽出される。クロロホルム10ml中ニヅケル100μgまでBeerの法則が成立しイ,抽出錯体は24時間安定である。共存オンとして亜鉛,鉄(III),コバルト(II)などは妨害するが,ピロリン酸ナトリウムの添加により鉄(III)の妨害は除去することができる。一方,銅-サリチルアルドキシム錯体もクロロホルムに抽出され波長345mμ に吸収極大をもち銅80 ,pH4～8で溶媒10ml中,μgまで定量的に抽出される。したがって,ニッケル5～100μg,5～60μgを含む試料について,まずpH4で銅を抽出分離し,つぎに残液のmを9.2に上げてニッケルを抽出したところ,それぞれ士0.5μg以内の誤差で定量することができた。

イソニトロソアセトフェノン(以下INAPと略記する)によるコバルトの抽出吸光光度定量法について検討した。 コバルトはINAPと反応して淡黄色の錯体を生成し,この錯体は種々の有機溶媒に抽出される。抽出溶媒としてクロロホルムを用いると抽出種は長時間安定で,波長240, 295, 356, 390mμに吸収をもつ。波長390mμを定量に利用するとコバルト24μgまでBeerの法則が成立し,この場合モル吸光係数は2.82×104,感度は吸光度0.001に対し0.0020μg/cm2である。抽出に最適なpH範囲は9.0～9.3で,抽出錯体のコバルトとINAPの組成比は1:3と推定される。共存イオンとして亜鉛(II),モリブデン(VI),ベリリウム(II),銀(I),セリウム(III)など11種の金属イオンは,コバルト15μgに対しそれぞれ1mg共存しても6%以内の誤差でコバルトの定量が可能である。

α-ベンジルモノオキシム (以下α-BMOと略記)によるパラジウム (II) の抽出吸光光度定量法について検討した。パラジウム (II) はα-BMOと反応して黄緑色の錯体を生成し, この錯体はクロロホルムに抽出される。波長435mμ に吸収極大をもち, ρH2～10の範囲内で定量的に抽出され, クロロホルム10m1中, パラジウム2～60μgの濃度範囲でBeerの法則が成立する。モル吸光係数は1. 98×104, 感度は吸光度0. 001に対し5. 4×10-3μgPd/cm2であり, 抽出錯体の組成は, パラジウム: α-BMO=1: 2である。EDTA, チオシアン酸イオン, チオ硫酸イオン, スズ (II) などは妨害し, 白金 (IV),イリジウム (IV)・スズ (IV),フッ素はわずかに影響を示す。