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52Mnをつくるため理研サイクロトロンでクロムを3He, α粒子で照射し, 52, 54, 56Mnなどの励起曲線と収率を求め, 化学分離法も検討した。照射ずみターゲットの塩酸分解溶液より, 陰イオン交換分離し, ついで蒸留により, キャリヤーフリーに52Mnをえたが54Mnを0.7%くらい含む。これをさけるにはいったん分離した52Feを35時間放置後, 陰イオン交換分離するとよい。1mCi52Feより1μCi52Mnをえた。3He照射では52Mnは主として52Cr (3He, p2n) 反応ででき核反応断面積の極大は33MeVで220mbに達し, 40MeVで156μCi/μAhになり実用量が得られた。クロムの3He粒子照射はa, p, d粒子照射のいずれに比ベても52Mnの収率が高く, 54Mnの生成量が少ない点ですぐれており, またキャリヤーフリー分離ができた。

周期律第II族元素である115mCd, 65Znおよび85Srの各化合物を吉田肉腫皮下移植ラットに静注して, その体内分布を経時的に追跡した。115mCd-chlorideと115mCd-citrateは肝臓への親和性が非常に強く, ついで膵臓, 腎臓へもかなりの親和性を示した。115mCd-EDTAは排泄が速く, 肝臓, 腎臓への親和性は弱くなった。65Zn-chlorideは肝臓に親和性が強く, ついで膵臓, 腎臓の順であり, 115mCdおよび65Znはがん親和性は弱かった。85Sr-chloride, 85Sr-citrateおよび85Sr-EDTAは腫瘍, 肝臓, 腎臓, 膵臓, 脾臓, 肺臓, 副腎の7種類の臓器組織において115mCdおよび65Znより消失が速やかであり, そして血液, 筋肉, 胸腺を加えた10種類の臓器組織中腫瘍への残存率が最も大きかった。

低エネルギーα粒子放出核種148Gdを陽子照射をうけたユーロピウムから調製した。第1段階として亜鉛アマルガムによる還元, 硫酸バリウム共沈でEuを除去したが, さらに陽イオン交換樹脂による精製を行なった。αスペクトルで確認した148Gdのほか, 153Gd, 152Gdの共存をγスペクトルでみとめ, 生成核反応についての考察, 3価アクチノイドのトレーサーとして有効な148Gdを有効に得る方法についてのべた。

固体表面の放射性粉体汚染およびその除去実験に用いる放射性粉体として, 放射性同位体を吸着した活性炭を用いる可能性を調ベる目的をもって, これに必要な実験的条件を検討した。放射性粉体の除去実験によく用いられる水, およびドデシル硫酸ナトリウム (SDS) 水溶液で洗っても脱離しない条件を, 無担体の60Co, 144Ce, および147Pmについて調ベた。その結果, 粉体除染実験に水を除染剤として用いるときには60Co, 臨界ミセル濃度 (CMC) 以下のSDS溶液を用いるときは144Ce, および147Pmが適していることが知られた。CMC以上の濃度のSDS溶液を除染剤に用いる粉体汚染実験用には, どの同位体も完全によくはなかった。これらの実験から, 粉体汚染試料として活性体に吸着させて用いられる同位体は, その粉体の除染条件によってきめられるべきことが実験的に示された。

核医学的あるいは化学的研究においてトレーサーとして有用な85Srを理化学研究所の160cm-サイクロトロンでルビジウムに重陽子を照射することにより製造し, 溶媒抽出法により無担体で分離する方法を考案し, 確立した。硝酸ルビジウムに15MeVの重陽子を照射したのち, pH3の塩酸溶液に溶解し, 10%のクペロン溶液を加え, さらにTBPを加えて1分間振りまぜ, 85Srを抽出してターゲットから分離した。有機相の85SrはpH3の塩酸溶液で1分間ふりまぜることにより水相に逆抽出し回収した。その結果, 放射化学的に満足すべき純度で85Srを無担体で分離することができた。

生物学的あるいは化学的研究において無担体トレーサーとして有用な206Biを製造する目的で, 理化学研究所の160cmサイクロトロンで206Pb (d, 2n) 206Biの核反応を行なわせ206Biを製造し, さらに溶媒抽出法により206Biを206Pbから無担体で分離する方法を考案し確立した。濃縮同位体206PbをふくむPb (NO3) 2に19MeVの重陽子をアルミニウムハクを通して照射したのち, 0.1M硝酸溶液とし, 0.2MオキシンーTBPで206Biを抽出して206Pbと分離した。その結果放射化学的に満足すべき純度で206Biを無担体に分離することができた。