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近年，発達障害のある児童生徒への指導内容・方法の工夫がより一層求められるように なった．そこで，本研究では特別支援学校の地域資源を活用した発達障害児童生徒の授業 づくりの実態を明らかにした上で，発達障害のある児童生徒の自己有用感を育むための方 策の一つとして，地域資源を活用した授業に焦点を当て，その具体的方策を明らかにする こととした．その結果，地域資源を活用した授業を通して，感謝される経験を積み重ねる ことと，体験活動を振り返り，自己の学びと成長を言語化し，それに対して教師が教育的 に価値付けることが，生徒の自己有用感を育む上で重要である，ということが明らかとなっ た．また，生徒の振り返り機会は，生徒の学びと成長を教師自身が把握し，授業を評価・ 改善できる機会でもあり，教師自身の自己有用感を育むことができる，教師にとっての学 びの機会であることが明らかとなった．

本研究は、発達障害及び発達障害特性のある看護師のワーク・エンゲイジメント向上に寄与する組織の支援を明らかにするころを目的に文献検討を行った。その結果、発達障害及び発達障害特性のある看護師への支援として、【組織への所属感が得られる支援】【苦手を克服するためのスキル獲得に向けた支援】【心身の健康の維持に向けた支援】【ストレングスを活かした業務配置】【個人の成長速度に合わせた指導方針の共有】が明らかとなった。これら支援は、発達障害及び発達障害特性のある看護師のみならず、看護師のワーク・エンゲイジメントを高める支援であることが推察された。

2021年度に札幌学院大学において実施した発達障害学生支援に関する全学必修型FD/SD研修の事後アンケート結果を踏まえ，2022年度は発達障害学生が抱える学生生活上の困難に関する具体例の紹介を重視した研修会を実施した．本稿の目的は，具体的な事例を取り入れた研修会が発達障害学生支援に関して教職員に与えた効果を評価し，研修会を契機とした教職員への障害の理解啓発や学内連携を含む実際の障害学生支援への発展等，今後の学内研修会の展望について示すことである．オンラインで実施された研修会終了後，参加者（112名）に事後アンケート（WEB）への回答を求め，27人の教職員が回答した．事後アンケートの結果，研修会の内容に対して回答者全員が「満足」あるいは「やや満足」と回答した．自由記述回答の結果から，発達障害学生の抱える困難さに関する具体例を複数紹介したことが，今回の研修会の満足度に強く影響した可能性が示された．今後の研修会の発展として，大学個々の状況に即した研修会の構成や，学内連携の促進を目的とした参加者同士の交流の必要性について示した．Based on the results of a survey on supporting students with developmental disabilities conducted after the university-wide compulsory FD/SD workshop in FY2021, the focus of the FY2022 workshop was introducing specific examples of the student-life difficulties that such students face. The purpose of the research was to evaluate how workshops on supporting such students influence faculty members and to assess the prospects of future workshops, for example developing the workshop as a platform to raise faculty members’ disability understanding to facilitate actual support for such students, including collaboration within the institution. Following the workshop, which was conducted online, the participants (112) were administered a web-based questionnaire, and 27 completed it. The results indicated that all the respondents were satisfied or somewhat satisfied with the workshop content. Furthermore, their free descriptions indicated that the introduction of specific examples of the difficulties faced by students with developmental disabilities possibly strongly influenced their satisfaction with the workshop. Accordingly, to develop the workshop for the future, it is suggested that workshops be designed in accordance with individual university circumstances, and exchanges among participants be facilitated for promoting collaboration within the institution., 特集「コロナ禍における多様なニーズのある学生に対する修学就職支援Ⅱ」, Special Topic: Study and Employment Support for Students with Diverse Needs Amid the Corona Pandemic II, 調査報告

札幌学院大学では，発達障害を含む多様な学生の修学就職支援の充実を図るため，全教職員を対象にしたFD/SD研修会を4年連続で開催した．昨年度からは学長からの呼びかけで，他大学では例を見ない全学の全教職員必修型研修会と位置付けて実施した．職員の参加率は2か年とも非常に高い水準であったが，教員については低く，補助金上の目標でもあった全教職員参加率75％を達成できなかった．発達障害に関する全学的な啓蒙啓発の難しさを再認識する厳しい結果となった．本学は「障害学生修学支援ネットワーク拠点校」としての使命もあり，取り組みの過程を可視化して敢えて記録に残し，今後の礎としたい．For the fourth consecutive year, Sapporo Gakuin University held an FD/SD workshop for all faculty members and staff to improve educational and employment support for a variety of students, including those with developmental disabilities. Since last year, at the initiative of the university’s president, it has been positioned as a university-wide compulsory workshop for all faculty members and staff, which is something that is not seen in other universities. The participation rate of the staff was high for both years but that of faculty members was low, and thus, the target of 75% participation could not be met. This bleak outcome highlighted the difficulty of raising awareness about developmental disabilities throughout the university. As part of the university’s mission to become a ‘hub with an educational support network for students with disabilities’, we would like to visualize and document the process of the initiative to establish it as a framework for future use., 特集「コロナ禍における多様なニーズのある学生に対する修学就職支援Ⅱ」, Special Topic: Study and Employment Support for Students with Diverse Needs Amid the Corona Pandemic II, 調査報告

発達障害の特性は，乳幼児期から養育者にとって「育てにくさ」と感じられることが多いことから，本人の特性に応じた発達支援のみではなく，子どもの養育を担う家族支援を早期から同時に行うことが重要である。2004年に制定された発達障害者支援法により，発達障害者への支援と同時にその家族支援や関係者の支援についても制度や体制の整備が進められてきたが，発達障害児の家族支援について自治体を対象として行われた調査では，家族支援に「地域や自治体による支援格差」があることや「家族支援に関する専門人材が不足している」ことなどが明らかとなった。その課題の解決には，既存のプログラムの活用に加えて，すでに地域に存在する人的資源の「強み」を活かしたプログラムの開発・実践が必要である。また，発達障害児の家族支援に関する先行研究からは，家族が抱える心理的な支援のニーズは，子育てにおける不安感や孤独感，自責の念といった「つらさ」が和らぎ，子どもと関わる楽しさや，親としての自信に支えられる「喜び」を味わうことができる支援にあることが示唆された。これらを踏まえ，家族が抱える心理的な支援のニーズを満たすためには，親自身が「学べる場」と「支えられる場」の存在が必要であることや，今後の展望として「地域の機能化」，「当事者の力を活かした支援プログラムの開発と実践」，「家族支援を通じた当事者と地域のエンパワメント」という3 つの視点に立つ支援が必要であることが考察された。このような支援に社会全体で取り組むことは，発達障害者とその家族にとっての「社会的障壁」の改善へとつながると言え，このことは，発達障害者支援法の理念に定められた国民全体の責務であると言えるであろう。Since parents of children with the characteristics of developmental disabilities perceive the difficulty of raising them from an early age, it is important to provide not only developmental support according to the characteristics of the child but also family support from an early stage in the child's life. A law to support people with developmental disabilities was enacted in 2004 and it has facilitated support to the people, their families and those concerned through the establishment of ordinances and regulations and the development of support facilities and organizations. However, a survey of municipalities about the support revealed problems, such as disparities in the amount of support depending on the region and municipality and a lack of specialized personnel in the field. To solve these problems, in addition to utilizing existing programs, ones that take advantage of the strengths of the human resources that already exist in the community need to be developed and implemented. Other previous research on family support for children with developmental disabilities suggests that families need psychological support to help ease the hardships of the anxiety, loneliness and remorse of parenting as well as to allow them to experience the joy of being involved with their children and the pleasure of having confidence as parents. Based on this previous research, we discuss that to meet the needs of families, it is necessary to make a place where they can learn from and support each other from three perspectives: functionalization of the community, development and practice of support programs utilizing peer power and empowerment of the individual and the community through family support. Only the commitment of society as a whole to such support will lead to the removal of social barriers for people with developmental disabilities and their families as was stipulated in the principles of the support law.

現行の小学校学習指導要領では道徳科の推進と特別支援教育の充実が求められている。本稿では第一筆者がこれまで行ってきた小学校道徳科における発達障害のある児童への指導内容と指導方法についての研究を統合的に捉え，これから求められる道徳科における特別支援教育的視座を明らかにすることを目的とした。その結果，今後の道徳科での特別支援教育の充実のために，指導内容については，道徳科の内容を個別の教育支援計画や個別の指導計画，自立活動の年間指導計画等と関連して位置づけ，意図的・組織的に指導できる体制の整備の必要性が示唆された。また，指導方法については，インクルーシブな授業づくりの実現のために，道徳教育推進教師を中心に「言葉の確認」「心情の可視化」「メリハリのある多彩な学習活動」等の配慮・支援の実践を広げていくことが求められた。

発達障害児の父親の現状やそれを取り巻く環境を明らかにすることで、発達障害児の養育者の支援についての示唆を得ることを目的に発達障害児の父親に関する文献検討を行った。結果、多くの研究で父親を母親の主たる支援者として位置づけているところから調査が構成されていることが明らかになった。また、障害の気づきや告知当初において、父親自らが子どもの特徴や家族の状況を受け入れる経過を保証し支える視点と、父親が受け入れるまでの期間、母子の孤立を防ぐための支援の両立が家族支援の視点として必要であることが示唆された。家族の形態が多様化している現在、発達障害児の父親に対して、そして発達障害児の母親の夫に対しての様々なニーズが存在する。支援者が考える「こうあるべき」父親・夫像ではなく、夫婦や家族で話し合い、調整し会える環境づくりも重要な支援となることが考えられた。

本研究の目的は，通常学級の担任教師が通級指導教室を利用している生徒が起こす予想外の行動をどのように理解し，学級の他の生徒たちと，学級という集団の質を向上させていくのかその経過を，担任教師にインタビュー調査を行い検討することであった．勤務する公立中学校に通級指導教室が設置されていること，自分の担任する学級に通級指導教室を利用する発達障害の生徒が在籍していること，教師経験年数が20年以上であることという条件を満たす３名の教師を対象に，半構造化面接を行った．半構造化面接の結果を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した結果，４つのカテゴリーと９つのサブカテゴリーが生成された．担任教師は，発達障害の生徒の対応に困難を感じた時に，《通級指導教室の教師に援助要請》を行う．その後，通級指導教室の担当教師が，《学校内の教師から支えられる》体制作りや，《保護者との信頼を形成する》調整を行う．その結果，担任教師は落ち着いて学級全体を見ることが可能になり，発達障害の有無に関わらず，生徒たちはお互いの個性を認めあいながら適切な関わり方が出来るようになり，《学級の一体化》が成立したと考えられる．

本研究は、就労移行支援事業所を利用する発達障害のある人を企業へ橋渡しするための方法を具体的に明らかにすることを目的とした。A 事業所においてエスノグラフィックな手法を用いた調査を行った結果、発達障害のある人と企業をつなぐ移行支援の実践は、訓練と振り返りの反復による発達障害のある人の自己理解と、支援者による特性理解の深化のプロセスであることが明らかになった。A 事業所では日々の座学や作業、実習などの訓練と、面談による訓練の振り返りが反復的に行われる中で、スタッフによる特性理解と利用者による自己理解を深めることにつながるシステムが構築されていた。また、実践の中で特に重視されていたのは、ストレングス視点に基づき、職場において生かされる長所と捉えることのできる強みを見出すことであり、苦手な部分を補うだけでなく、強みを生かして就労につなげていくことが目指されていた。強みを見出す方法として、様々な訓練によるスキルの習得、情報収集、振り返り、リフレーミング、対話の５つが繰り返し行われる中で、特性が就労に生かせる強みとして共有されていた。, This study aimed to explore specific ways of connecting people living with developmental disabilities (PLWDD) to companies by using a work transition support provider. As a result of conducting an ethnographic study at center A, it became clear that the implementation of work transition support that connects companies and PLWDD is a process of deepening the self-understanding of PLWDD through repeated training and reflection, and of deepening supporters’ understanding of this cohort’s characteristics. At center A, through a process of repeated training including daily classroom lectures, work, and practical training, supplemented by a review of training through interviews, a system was built that would deepen the staff’s understanding of PLWDD characteristics, and the cohort’s self-understanding. Further, what was particularly emphasized as part of the implementation was to find strengths, based on the strength perspective, which can be regarded as advantages to be utilized in the workplace. The aim was not only to compensate for weaknesses but also to make use of the strengths to lead to employment. Strengths were identified through repetition of the five methods, namely, acquiring skills, information gathering, reflection, reframing, and dialog, and characteristics were shared as strengths that could be used in employment., 本論文は、第一著者が令和２年度、広島大学大学院教育学研究科に提出した博士学位論文の一部を再分析し、大幅に加筆修正したものである。

発達障害等、学習に困難がある場合は、タブレット端末等を用いて漢字にルビを振ることや読み上げ、画像の拡大などで学習がしやすくなることがある。文部科学省が実施する「音声教材の効率的な製作方法等に関する調査研究」では６団体が事業を受託し、その成果物を児童生徒に提供している。広島大学が令和３年度まで製作していたe-Pat は教科用図書と同一のページの閲覧（原本モード）及び文字のみの画面（リフローモード）で読み上げ機能の実装が行われていた。e-Pat の効率的な製作と効果的な普及を目指すため、提供方法、学習効果、音声教材に期待する機能などを利用者が所属する学校関係者または保護者にアンケートを行った。e-Pat は学校の授業中、特に通常学級での利用が最も多かった。e-Pat の申請は所属学校から行われるが、申請方法に関して負担に感じた人は少なかった。学習効果としては、文章の読みや漢字を読む際の助けとなると感じた人が多かった。改善点としては、原本モードでの読み上げ、漢字のルビ表示の要望が多かった。利用者のニーズに沿った音声教材の発展が望まれる。, If a person has learning difficulties due to developmental disabilities or other reasons, learning may be facilitated by using tablets or other devices to add phonetic cues above kanji characters, to use text-to-speech, and/or to enlarge the image of materials. In the“ Survey and Research on Efficient Production Methods for Audio Teaching/Learning Materials” of the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology-Japan, six organizations have been entrusted with the project and are providing the teaching materials to children. One of such organizations is Hiroshima University. We used to call the teaching material “e-Pat” until 2021. It came with functions of viewing pages as they read the textbooks (original mode) and reading aloud on the text-only screen (reflow mode). To aim for efficient production and effective dissemination of the e-Pat, the users’ school officials and parents/guardians were given questionnaires on the method of providing the material, how well users learned using the material, and additional functions desired for such materials. The e-Pat was most frequently used during classroom lessons, especially in normal classes. Many also felt the e-Pat application process (applied by schools) to be easy. Many also felt that the e-Pat helped them read sentences and Kanji characters. Many also requested to add text-to-speech functions and phonetic cues above Kanji characters in the original mode. Improved text-to-speech materials according to the needs of users are desired., 本研究はJPSP 科研費JP21H00888の助成を受けたものです。

本稿は和洋女子大学教育振興支援助成プロジェクト『こども発達学科の学生による「発達障害および発達が気になる乳幼児」に対するインクルーシブ保育の社会コミュニケーション促進支援』の成果報告である。2019年度〜2021年度までの３年間で、こども発達学科の学生が主体的に取り組んだプロジェクトである。本プロジェクトでは、学生による「地域連携型インクルーシブ保育」の支援の開発を行うことにより、和洋女子大学独自のインクルーシブ保育を確立することを目的とした。３年間を通じた、インクルーシブ保育によるグループ「子どもグループ」「保護者グループ」の実施により、学生の責任感・子どもの理解が深まり、保護者にとっても、学生や子ども同士の触れ合い、他の保護者との交流などの場になった。また、「保育者グループ」向け動画に関する質問紙調査を実施したところ、発達障害や発達が気になる子どもに関して、手軽な方法で専門家から学ぶことができる貴重な機会になった。そのため、今回の取組は、専門性の高い学生の育成、子どもと保護者の居場所作り、保育者の学びにつながる可能性がある。

本研究は，Walshの家族レジリエンス理論をもとに，発達障害及び知的発達症児・者をもつ家族の家族レジリエンス要素を演繹的に明らかにすることを目的とした。発達障害及び知的発達症児・者をもつ親23名を対象に半構造化面接を行った。語りを分類した結果，【信念体系】における≪意味づけ≫には＜発達障害や子どものことを理解する＞，≪肯定的な見通し≫には＜子どもが持っている強みや力をどう活かすかを考える＞，≪スピリチュアリティ≫には＜困難を超えられる可能性を思い描く等が対応すると考えられた。また，【組織的プロセス】における≪適応への柔軟性≫には＜家族の中で役割分担をする＞，≪結びつき・相互のサポート≫には＜家族成員同士で互いにサポートし合う＞，≪社会的経済的資源≫には誰かに助けを求められる，話を聴いてもらえる＞，＜療育や教育などに必要な経済的資源の確保等が対応すると考えられた。さらに，【コミュニケーションプロセス】における≪明晰な情報≫には＜情報をその都度共有する≪感情の共有≫には＜家族全体で気持ちを共有する＞，≪協働的な問題解決・積極的な活動≫には＜具体的な解決策を見つける＞等が対応すると考えられた。

近年増加傾向にある発達障害の傾向があるものの医学的診断の無い「グレーゾーンに位置する学生」にとっては，その特性から一般学生以上に就職活動は非常に困難を極めるものになっている。本研究では，臨床知識の無いキャリアカウンセラーが発達障害傾向のある学生をどのように見極め，学生の主体性な変化をどのように働きかけ育むのか，そのプロセスを明らかにしていくと共に，支援プロセスのモデルを生成することを目的とした。キャリアカウンセラーの経験・知識が浅い場合であっても，見極めの意図性を高めることは，今後の支援についての見通しを持つことで支援者側の「わからない」不安を解消，軽減させるだけでなく，早期に障害の可能性をとらえることが出来た場合には，その学生に合った支援や提案，調整していける可能性を示した。また，発話分析から得られた概念により，「キャリアカウンセラーの主観によるグレーゾーン学生の特徴」が整理された。

This study aims to reveal the experience of a student and the mother of the student with developmental disorders who has a history of remaining absent from school. It discusses the educational treatment and comprehensive support provided to the student at a special school for students with health impairments. A qualitative analysis of the data collected from an interview conducted with the mother revealed that the mother and her childʼs experiences included the following six categories： A chain of negative emotions that bubbled up with the onset and increase of anxiety, the motherʼs heart caught up by a lack of understanding, transformation of the response from a solo effort, behavioral changes in the child due to anxiety, proposal-negotiated support based on the characteristics of disorders, and outcomes of the support team. These six categories are closely linked. Based on the results, the educational treatment and comprehensive support, including early detection of disorders, effective use of assessments, proposal-negotiated support, should be conducted at the community service and special school for students with health impairments.

Currently, the number of students with mild intellectual disabilities and developmental disorders is increasing in the high school section of special needs schools. Along with this, the number of students with secondary disorders is increasing. The teachers are having difficulties dealing with this increase, therefore improvements of the existing education system are needed. In this survey, we conducted a questionnaire targeting teachers in the high school section of special needs schools about how to deal with behavioral problems caused by secondary disorders. As a result, we found that the following are important； 1) Focus on preventive guidance and reduce the time for post-treatment. 2)Build a curriculum so that students can grow on their own, through relationships with others.

本研究の目的は，公平性および配慮を受ける人との関係性が発達障害のある学生に対する合理的配慮への態度に与える影響を検討することであった。大学生250名を対象に，ある困難を持つ学生に対する配慮事例を6つ提示した。その際，その配慮が他の学生には適応されない特別なものであるという記述があるもの（特別扱い強調あり条件）とないもの（特別扱い強調なし状況），配慮を受ける人が見知らぬ他人であるという記述があるもの（他者条件）と親友であるという記述があるもの（親友条件）を設定した。それぞれのシナリオにおける個別の配慮について，どの程度賛成か（賛成的態度），どの程度公平と思うか（公平感），どの程度教育の目的や内容が変更されると思うか（目的・内容の変更度），どの程度教員や支援員の負担となると思うか（負担度），どの程度成績評価や単位認定に影響があると思うか（成績評価への影響），の5項目について，それぞれ5件法で尋ねた。主な結果として，（1）特別扱い強調がある場合には全体的に賛成的態度や公平感を低めること，（2）支援を受ける人との関係性は賛成的態度や公平感に影響を与えないこと（目的・内容の変更度でのみ，他者条件のほうが親友条件よりも高い値が報告される），（3）具体的な支援の形によって賛成的態度や公平感は違いを示しており，特に「授業中の録音・撮影」はいずれの条件においても賛成的態度（あるいは公平感）が高いこと，が示された。

[要旨] わが国における才能教育は、アメリカにおけるそれに比して極めて限定的な発展しか遂げていない。いわんや、才能と発達障害とを併せ持つ子供、いわゆる2E児を対象とした教育についてはさらに国内での認知度が低い。本書はアメリカ及びカナダの豊富な事例をもとに、その両者を紹介した稀有な研究成果である。本書は全8章から成り、次の三つのことが試みられている。一つは、同じ著者によるアメリカの才能教育に関する2003年発刊の啓蒙書に関する情報の更新、二つ目はより国内認知度の低いコンセプトである2Eに関する北米地域の最新報告と考察、そして最後に報告されるのは、才能教育及び2E教育に関する日本の現状と課題である。但し、主として心理学の視点による制度論的なアプローチであることが本書の限界とも感じる。例えば、才能児のためにどのようなカリキュラムが組まれ、教室でどのような授業を受けているのか、そしてそれらがどのような教育的効果を達成しているのかなどについて、残念ながら本書は多くを語ってくれない。教育学などの異なる視点による補完的アプローチが期待される。

application/pdf, 肢体不自由、視覚障害、聴覚障害等の障害は周囲の人にイメージ的に理解されやすく、周囲のサポート方法も直感的に理解しやすいが、発達障害は、外見では判断できず、他人に理解されにくいという問題点があった。そこで本研究では360度カメラで撮影した動画にリアルタイムで発達障害者の人が見えているような画像処理を行い、これをVRヘッドセットで視聴する発達障害者の困難体験システムを開発した。これはVRで視聴する事により、発達障害の人の困りごとが実体験として体験できるシステムとなる。

application/pdf, 本研究では、色、音声や動作に注目した教材アプリを作成する。これは久保が提唱してきた「みるみるメソッド：文字や単語といった情報に色、ハンドサイン、動画等の視覚情報等を多角的に組み合わせで学習を促す教材」のアプリ化である。従来の教育法は、概念的な記憶が困難な児童・生徒には効果的では無かった。しかし、様々な視覚・聴覚・動作情報といった実世界の情報を組み合わせて学習する事で、概念的理解に困難を抱える児童・生徒にも学習効果及びコミュニケーション支援が期待できると考える。本研究ではICTを活用したWEBアプリケーション型教材を開発し、従来の紙ベースの教材では困難だった視覚・聴覚・動作情報を一元的に提供するものである。

アナログゲームの一つに、テーブルトーク・ロールプレイングゲーム（TRPG）がある。TRPG は余暇中の娯楽としてのみならず、近年では教育場面における利用が検討されている。本稿ではTRPG の行い方を概説した後に、TRPG の教育利用に関する先行研究を概観し、TRPG の教育利用における長所と今後の課題について検討した。その結果、先行研究において、TRPG には参加者のQOL 向上などの教育的効用が示唆されていることが明らかとなった。TRPG には、必要とする物品面での負担が少ない長所に加えて、社会性や思考力を高める可能性があると考えられた。その一方で、教育利用に向けた今後の課題として、指導者不足や活動時間の問題、不十分なエビデンスなども指摘された。

愛知教育大学発達支援相談室で実施している発達障害のある児童を対象としたグループプレイセラピーについて、コロナ禍の感染拡大の状況によりオンライン形式で実施した 2020年度と2021年度の実践を検討した。ＺＯＯＭというオンラインミーティングアプリを使用することで、コロナ禍においても集団でのセラピーを実施できることや、 オンラインでのセラピーでは家庭とのつながりができることなどが意義としてあげられた。その一方、オンラインのセラピーにおいては言葉を介するやりとりが主となるため、プログラムの企画・進行にあたってはルール設定や画面表示を工夫することが重要であることが 示唆された 。また、対面する子どもとセラピストのペアをリモートでつなぐ『 半対面方式 』の導入などにより、オンラインでのセラピーにおいても子どもとかかわることが可能になる点が明らかになった。

発達障害の子どもをもつ父親を対象とする子育て支援講座を，放課後等デイサービス事業所と連携し，「ぽかぽか父親講座」の名称で実施した。親子遊びや親子クラフト，親子クッキング等の親子活動に加えて，父親を対象とするセミナーとカフェ形式の座談会を計画して開始したが，新型コロナウイルス感染拡大により，クラフトとクッキングは各家庭での実施に計画を変更して行った。参加した父親からは，父親同士で話すことで孤独感が減少し，知りたい情報を得ることができたという成果が得られた。また，もっと時間をとって話をしたい，より詳しい情報を得たいなど，子育てについて考えるきっかけとなる父親同士の交流や，子どもとの接し方のヒントを得るための父親を対象とする講座への期待や要望があげられた。父親のニーズに応じた内容の選定や継続的な子育て支援講座の実施が望まれる。

本研究では，A県の全小学校，中学校，高等学校の養護教諭を対象とし，発達障害のある児童生徒の支援に関して養護教諭がどの程度自身の役割であると認識しているかについて質問紙調査を行った．その結果，養護教諭は発達障害のある児童生徒への関わりとして「心理面での支援」「服薬の支援」「保健室対応の充実」「自己理解の支援」「不安やパニックへの対応」「実態把握」という6つの役割を認識していた．またそれらの役割意識の比重は小学校・中学校・高等学校の養護教諭間において違いがみられた．学校での発達障害のある児童生徒の学習や生活における養護教諭の担う役割の重要性が示唆された．

本研究は、小学校に在籍する特別な支援を必要とする児童の早期支援の在り方と校内体制の構築に関する研究を目的に、滋賀県K市内の小学校低学年(1～3年)を担当する教員に対しアンケート調査を行った。低学年における学習面、行動面、対人面、生活面で困難さを抱える児童の人数や割合、学級の最も気になる児童が持つ困難さと各小学校の校内支援体制の達成度を明らかにし、支援体制が進んでいるA小学校と遅れているB小学校の比較から、校内支援体制を構築する上で必要なことを分析した。その結果、学級で困難さを抱える児童の中で「とてもよく該当する』と回答した教員の分析から低学年の児童の困難さは、学習面、行動面(不注意・多動性)については学年が上がっても高い割合で継続することがわかった。校内支援体制については、個別の教育支援計画や特別支援教育コーディネーターの達成度が高い反面、校内研修、他機関との連携、学習面の合理的配慮の達成度が低いことが浮き彫りとなった。さらに、他機関との連携や保護者との連携については、共通理解や教職員連携の達成度が低かったため、K市におけるA小学校とB小学校の現状比較から教職員の研修機会の確保と校内体制の整備を促進することが求められる。, This study conducted a questionnaire survey of elementary school teachers who arc in change of teaching lower grades (1st to 3rd year) in K City, Shiga Prefecture, for the purpose of research on the early support of children who need special support in elementary schools and the construction of an in-school system. We clarified the number and proportion of children who have difficulty in learning, behavior, faceto-face, and what kind of, difficulties faced by the children who are most concerned about in the class, and how well each school of the school support system of each elementary school is. We analyzed what is necessary to build up the school support system by comparing elementary school A which has progress support system and school B which is not good at special support. As a result, from the analysis of teachers who answered that it corresponded to "very well among children with difficulties in the class, it was found that the difficulty of children in the lower grades continued at a high rate in terms of learning and behavior (carelessness and hyperactivity) even when the grade increases. Regarding the school support system, it is clear that while the individual educational support plans and special support education coordinating are done very well, training programs for teacher does not cooperate with other institutions very well, and their consideration of handicapped children on learning is not enough. Furthermore, since the level of common understanding and faculty and staff collaboration was low in cooperation with other organizations and cooperation with protection, it is necessary to secure training opportunities for faculty and staff and promote the development of an on-campus system from the comparison of the current situation of A elementary school and B elementary school in K City.

発達障害の支援のためには，早期の気づきと早期の療育が必要であり，1歳6か月児健診が非常に重要な役割を果たす。しかし，健診の体制は必ずしも十分ではなく，何より健診に使われている健康診査票が，全国一律ではない。市町村によりばらつきがあり，発達障害の特性に気づくための項目も十分ではないことから，健康診査票の改訂が必要とされている。本研究においては，まず，関東周辺自治体48か所の健康診査票を集め，項目を比較し，現状の確認を行った。調査の結果，自治体により，健康診査票の問診数に，13～68項目と大きな開きが見られた。追加された項目は，多くは栄養や育児環境の分野であり，発達障害に関する項目は不十分と言える。更に，項目数が多すぎることは，記入する保護者への負担，保健師への負担につながるため，必要最小限の項目を発達領域ごとにバランスよく選ぶことが大切である。加えて，発達障害の特性を把握するための質問項目など，不足と思われる項目の充足を図り，健康診査票問診項目のモデルを作成した。また，問診項目が子どもの発達のどの分野を把握するものであるかを容易に判断できるように，観察視点を明確にした。この観察視点一覧票があることにより，健診スタッフの子どもを観察する力が，一定程度保証されるものと考える。, 論文

PDF, 要 旨 目的：本稿は、発達障害特性がある看護師の就労継続支援の現状と課題を明らかにすることを目的とした。 方法：医中誌 Web を用いて検索された発達障害およびその疑いがある看護師への就労支援を示唆している 2 文献を対象とした。また、当該看護師への就労継続支援の示唆を得るために、一般企業等における発達障害者への就労支援に関わる 7 文献を参考対象にした。 結果：発達障害がある看護師の就労では、その障害特性により看護業務に困難が生じており、それらに対応する看護師長をはじめ周囲の看護職には、支援が負担になっていることが示唆された。一般企業等においては、障害理解を前提に、ジョブコーチの導入、障害者ニーズに沿った職場環境の整備、仕事のマッチング、コミュニケーションを図るなど、障害者の能力や意欲を向上させ、主体的に仕事に取り組めるような支援が行われていた。 考察：当該看護師への支援は、障害特性を理解し、その人の適性やニーズに即した支援を職場全体で行うことが必要である。発達障害特性がある看護師の就労継続支援に関わる論文は少なく、今後は、当該看護師自身の就労の現状、支援ニーズ、支援者ニーズなどを調査し、支援方法を検討する必要があると考えられた。

Article, 信州大学教育学部研究論集 16:49-62 (2022)

奈良女子大学心理臨床研究 第9号 第1部 研究論文, 本来,共通理解を持つことに役立つ「発達障害」という用語や各発達障害名であるが,専門性や立場によって認識の相違がある。そうした揺れ幅が生じる背景を整理し,発達障害児・者の支援につながる理解を深めることを目的とした。「障害」という語の響きから生じる情緒的な意味合いを含むニュアンスの問題や,環境との関係性の問題を捉えることの重要性が示された。また,発達障害に関する診断名称を「科学的な名称と感じがち」(兼本, 2020)であることや操作的診断基準による診断名称であることを再認識し,一人一人と向き合って理解していくプロセスから心理臨床の営みを確認した。そして,専門用語などで表される言葉の「意味」の回路ではなく,「音」という感覚的なsympathyが,発達障害のある子どもと共にいるときに大切な交感を生む回路となり得ることを,自験例を示しながら検討した。

本論文では、発達障害のある生徒や不登校を経験した生徒を積極的に受け入れている通信制高校Aの取り組みの実態を明らかにすることを目的とし、半構造化インタビューを行った。各教員の回答からは、生徒の思いに対する受容や発達障害の特性に即した支援が、生徒が安心して通学できる環境の形成に寄与しうることがうかがわれた。また、対象校では、定期的な研修の実施や情報共有システムの活用を通じて、それぞれの生徒の多様なニーズに対する組織的な対応がなされていた。以上を踏まえ、対象校の取り組みの中から発達障害の二次障害への予防的アプローチに参考となる内容について論及した。

我が国の障害児教育の制度は、それまでの特殊教育から特別支援教育に転換され15 年目を迎えようとしている。「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議報告」（文部科学省，2021）によると「少子化により学齢期の児童生徒の数が減少する中、特別支援教育に関する理解や認識の高まり、障害のある子供の就学先決定の仕組みに関する制度の改正等により、通常の学級に在籍しながら通級による指導を受ける児童生徒が大きく増加している。また、特別支援学級や特別支援学校に在籍する児童生徒の数も増加している」と報告されている。 本論文は、このような特別支援教育の現状を踏まえ、筆者らが「子どもの主体性」を大切にして行ってきた特別支援学校での教育実践と小学校及び中学校の通常学級に在籍する児童生徒の教育相談の分析により、今後の特別支援教育の在り方について最も重要視すべきことについて考察する。