A Case of Pneumotosis Cystoides Intestinalis Presented with Paralitic Ileus

症例は, 48歳,女性.下腹部痛,嘔気,嘔吐を主訴に来院.顔貌は苦悶状,蒼白で,腹部は著明に膨隆・緊満しており,腹部全体に圧痛を認めた.腹部単純X線検査にて下腹部を中心に類円形の蜂巣状透亮像を多数認め,左右横隔膜下にfree airを多量に認めたため,腸管嚢腫様気腫症が疑われたが,多量のfree airを呈した腸管嚢腫様気腫症の症例報告は少なく,腹部全体に圧痛を認めたことより,緊急手術を施行した.開腹するとfree airを多量に認め,グダラス窩に漿液性腹水を認めた.空腸からS状結腸まで腸管は著明に拡張し,腸管壁,腸間膜に嚢腫様気腫性変化を認めた.空腸の一部は気腫性変化が強く,腸管壁の浮腫と肥厚が著明であり,同部位の空腸を切除し,腸管内圧の減圧目的にてイレウスチューブを挿入した.手術翌日の腹部単純X線検査ですでに蜂巣状透亮像は消失しており,術後22日目に軽快退院した.