Six cases of retroperitoneal neurilemmoma

神経鞘腫は末梢神経のSchwann細胞から発生する腫瘍で,主に頭頸部や四肢にみられ後腹膜腔からの発生は比較的稀である.臨床上は,後腹膜臓器由来の腫瘍との鑑別が重要であるが,必ずしも容易ではない.当科では1992年から2000年5月まで6例の後腹膜神経鞘腫を経験した.平均年齢は55.3歳,平均腫瘍最大径は11.7cmであった. 1例を除き有症状であった.4例で術前に後腹膜腫瘍と診断しえたが,質的診断はいずれも不十分であった.全例で腫瘍切除を行った.仙骨前面に強固に癒着していた1例では剥離困難のため腫瘍遺残を認めた.病理診断は全例AntoniA型とB型が混在する良性神経鞘腫であった.免疫組織染色ではS-100蛋白が陽性であった.再発徴候はいずれの症例も認めていない.良性後腹膜神経鞘腫は予後良好であるが,再発例や悪性化例が少数報告されており慎重な経過観察が必要である.