An epidemic of hepatitis A at an institution for the mentally retarded in Yamagata Prefecture. Time course of anti-HAV IgM antibody, clinical significance of anti-HAV IgA antibody test and prevention against hepatitis A with immunoglobulin

18歳以上の精神薄弱者施設に流行したA型肝炎(感染者は精薄者43人と職員15人の計58人)について,流行の実態,IgM型抗HAV抗体の消長,IgA型抗HAV抗体検出の臨床的意義と免疫グロブリンによる予防効果について検討した,精薄者のHAV感染率は69%と高率で,30歳台で高かった.感染経路は接触による連鎖伝播と推定された.A型肝炎の発病初期,肝機能が異常にもかかわらず,IgM型HAV抗体陰性例が21例みられた.A型肝炎の流行に際し,肝機能異常症例は,日をおいてのIgM型HAV抗体再検が必要と思われた.15例が6ヵ月以上の長期にわたり,IgM型HAV抗体陽性を持続した.IgM型HAV抗体陽性例全例に加え,肝炎が流行した寮の関係老33人に,IgA型HAV抗体が検出された.IgA型HAV抗体は,HAV感染規模を推定する上で,有力な手がかりになるものと考えられた.人免疫グロブリン投与は,新たなHAV感染を予防し,潜伏期に投与された場合,症状を軽減するものと思われた.