Primary Rectal Cancer in Associated with Schistosomiasis Japonica

日本住血吸虫卵の介在と悪性腫瘍との因果関係については,とくに肝臓癌との間で報告されているが,大腸癌との関係は未だ不祥で,関係ありと報告するものが多い一方,消極的不支持報告例もみられる.今回,当科で68歳,男性の,直腸癌症例に日本住血吸虫卵の介在をみたので報告する.生活歴は20歳まで佐賀県鳥栖市に居住し,筑後川にたびたび素足ではいった経験をもつ.他院で貧血を指摘され,精査で直腸癌と診断され当科入院となった.術前に施行した大腸内視鏡検査の生検で日本住血吸虫卵の介在した高分化型腺癌と診断した.手術は低位前方直腸切除,S状結腸J型嚢再建を行い,RbRa, 2型, 4×4.5cm,全周, H0, P0, Se, N1, Stage IIIaであった.病理組織検査はwell differentiated adenocarcinoma, se, ly2, v1, n1であった.虫卵は腫瘍部中心に多数存在した.虫卵の介在と大腸癌発生機序について報告した.