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Problems in the surgical treatment of severe acute pancreatitis

Authors :
Yoshifumi Takeyama
Yasuyuki Kihara
Makoto Otsuki
Source :
Suizo. 21:504-509
Publication Year :
2006
Publisher :
Japan Pancreas Society, 2006.

Abstract

「急性膵炎の診療ガイドライン」が上梓され3年が経過し,予後改善が期待される.実際,ガイドライン発刊前でも全国調査結果の致死率には着実に改善傾向が見られており,初期治療方針の啓蒙により早期死亡が減少した結果と考えられる.しかし,感染に起因する後期死亡の比率はかえって増加している.感染と外科治療に関連するガイドラインの項目を検討すると,感染性膵壊死の診断におけるFNA,非感染性膵壊死に対する壊死部切除,膵膿瘍に対する治療方針などに検討の余地があると考えられる.そこで,2003年の症例を対象として行われた急性膵炎全国調査における重症549例の外科治療成績を,1995年から1998年に行われた調査結果の成績と比較解析した.その結果,手術施行率の低下と手術施行例の致死率の低下が確認された.さらに,外科治療における壊死部切除の比率が16%から35%に上昇しており,胆石膵炎に対するESTなどの内視鏡治療や経皮的ドレナージなどが積極的に導入された結果であると考えられた.一方,壊死部切除症例の25例中7例は術前診断が膵膿瘍であり,膵膿瘍の診断と治療に改善すべき問題があると考えられた.2003年の調査症例では,膵膿瘍と診断された症例の致命率は23%で,感染性膵壊死と診断された症例の致命率(25%)とほぼ同等で,決して低くないことが判明した.これは,膵膿瘍と診断されても,その後,壊死部切除や外科的ドレナージが必要であった症例の予後が不良で,さらに経皮的ドレナージのみで治療した症例の致死率も20%と高いことに起因していた.膵膿瘍の診断は安易につけるべきではなく,感染合併例に対しては常に感染性膵壊死を念頭に置くべきであること,経皮的ドレナージ症例でも,感染性膵壊死を疑えば手術を躊躇することなく選択すべきことを示している.現行ガイドラインにおいても,「経皮的ドレナージで改善が見られない場合の外科的ドレナージ」が推奨度Bとなっているが,ガイドライン改定に際して,このことを一層強調する必要があると考えられた.

Details

ISSN :
18812805 and 09130071
Volume :
21
Database :
OpenAIRE
Journal :
Suizo
Accession number :
edsair.doi.dedup.....058ac7d38d593d679569b5829804f7b7