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本論では、まずグローバル化の概念が学界に続いて政策当局にも取り上げられるようになった経緯と、市場中心のグローバル主義への批判が高まる中で、当初はグローバル化の派生概念であったグローカル化が、広義の文化の視点から捉えた場合にはグローバル化そのものであるとした社会学者ローランド・ロバートソンの学説を紹介する。そこで提起されているグローバル化=グローカル化における均質性・普遍性と多様性・個別性との相互浸透の構造を、ハンバーガーの発展史を事例として取り上げる中で考察する。そこには累積的な循環構造があり、生物進化の構造との相似性が認められる。これを説明する試みとして、生物進化の基本的分析単位である遺伝子からの類推で、生物学者リチャード・ドーキンスが提起し、その後の文化進化論などで定着しつつあるミームの概念を基本単位とする新たな社会理論の枠組みを提示する。そこでは、社会・文化の変容をもたらす基底には、ミームの変異があり、その源泉は相対的な概念としてのローカリティーであることを導く。

遺伝性痙性対麻痺（hereditary spastic paraplegia, HSP）は，進行性の下肢の痙縮と筋力低下を主徴とする遺伝性神経変性疾患であり，これまでにSPG1-SPG79 の病型が知られている。その中でREEP1 遺伝子を病因遺伝子とするSPG31 は，常染色体優性遺伝性HSP（ADHSP）において二番目に多い病型であり，REEP1 遺伝子に変異があることでミトコンドリアや小胞体機能に影響を及ぼすことが知られている。症例の多くは20 歳以下の若年で発症し，時に末梢神経障害を合併することがあるものの，基本的には下肢の痙縮と筋力低下のみを主症状とする純粋型HSP の一型である。本症例は凹足（pes cavus）を認めるものの下肢の痙縮が主症状であり，家族歴から純粋型ADHSP が疑われた。遺伝子解析によりREEP1 遺伝子に新規ミスセンス変異（c.254C>A，p.S85Y）を見出し，SPG31 と診断した。我々が渉猟し得た限り，本邦でのpes cavus を伴うSPG31 症例は1 例しか報告されておらず，本例は貴重な症例であると考えられた。

Objectives: The aim of this study was to identify biomarkers for predicting the efficacy of docetaxel, cisplatin, and S-1 (DCS) therapy for advanced gastric cancer using microarrays of biopsy specimens before chemotherapy. Methods: Nineteen samples were taken from 19 patients with unresectable metastatic gastric cancer who received DCS as a first-line therapy. Laser capture microdissection was performed, and total cellular RNA was extracted from each microdissected sample. Whole-gene expression was analyzed by microarray, and the difference in mRNA expression observed with the microarrays was confirmed by quantitative real-time PCR. Immunohistochemical staining was performed using clinical tissue sections obtained by endoscopic biopsy. Results: Eleven patients were identified as early responders and 8 patients as nonresponders to DCS therapy. Twenty-nine genes showed significant differences in relative expression ratios between tumor and normal tissues. A classifier set of 29 genes had high accuracy (94.7%) for distinguishing gene expression between 11 early responders and 8 nonresponders. Decreasing the size of the classifier set to 4 genes (PDGFB, PCGF3, CISH, and ANXA5) increased the accuracy to 100%. Expression levels by real-time PCR for validation were well correlated with those 4 genes in microarrays. Conclusion: The genes identified may serve as efficient biomarkers for personalized cancer-targeted therapy.

以前は遺伝情報の流れの中で“わき役”と思われがちだったRNAに、リボザイムやマイクロRNA活性などの生体内での重要な役割が次々に発見され、今ではRNAは生体反応をコントロールする“主役”にのし上がっている。このRNAはA, U, G, Cの4塩基で構成されている。一方、DNAはA, T, G, Cの4塩基で構成されており、違いはUの代わりにその誘導体であるTがDNAで使われていることである。この事実は全ての教科書に記載されているものの、その理由を説明した解説書が見当たらない。本稿では、DNAとRNAの構造上の違いを復習しながら、RNAがUを使いDNAがTを使う理由を詳しく説明し、それぞれの化学構造を描けるようになるためのヒントを与える。

甲医博第858号

[抄録]目的：自己免疫性甲状腺疾患（AITD）発症へのHLAクラスII領域とクラスI領域の関与を明らかにする． 方法：AITD患者281人と健常対照者198人を対象に，HLAクラスII領域のDRB1 とDQB1 アリルおよびクラスI領域のA，B とC アリルを決定し，アリル頻度およびハプロタイプ頻度を比較検討した．成績：DRB1 についてはDRB1*08:03 がAITD患者において有意に高頻度（14.4％ vs.7.6％，Pc＜0.01），DRB1*01:01 は有意に低頻度（2.3％ vs.8.8％，Pc＜0.0001）であった．DQB1 については，DQB1*05:01 が患者群において有意に低頻度（2.7％ vs.10.6％，Pc＜0.00001）であった．DRB1-DQB1 ハプロタイプについては，DRB1*08:03 -DQB1*06:01 が患者群において有意に高頻度（14.2％ vs.7.3％，Pc＜0.01），DRB1*01:01-DQB1*05:01が有意に低頻度（2.3％ vs.8.8％，Pc＜0.0001）であった．A については，いずれのアリルについても統計学的有意差を認めなかった．B についてはB *35:01 が患者群において有意に高頻度（13.2％ vs.6.8％，Pc＝0.04），B*07:02 が有意に低頻度（1.6％ vs.6.8％，Pc＜0.01）であった．C については，C *03:03 が患者群において有意に高頻度（17.4％ vs.8.1％，Pc＜0.01）であった．B -C ハプロタイプについては，B*35:01-C*03:03 が患者群において有意に高頻度（11.9％ vs.4.7％，Pc＜0.001），B *07:02 -C*07:02 が患者群で有意に低頻度（1.6％ vs.6.6％，Pc＝0.02）であった．DRB1

造血組織内のニッチェと呼ばれる特殊な微小環境に存在している造血幹細胞は，自己複製能及び多分化能といった幹細胞特有の機能を有しており，放射線などの酸化ストレスに対して非常に高い感受性を示す．その幹細胞特性は細胞内ミトコンドリアの生合成，ミトコンドリア由来の活性酸素種を制御することで維持されている．造血幹細胞の幹細胞特性の維持や分化の進行におけるミトコンドリアの重要性は近年明らかにされつつあるが，その造血幹細胞の分化/増殖過程に及ぼす電離放射線の影響と細胞内ミトコンドリアの関連性についての多くは不明のままである．本研究では，X線照射ヒト胎盤/臍帯血由来CD34陽性造血幹/前駆細胞の分化・増殖過程における放射線応答と，細胞内活性酸素種、ミトコンドリア機能及びその関連遺伝子の発現について評価した． 先ず，放射線ばく露ヒト造血幹/前駆細胞の分化・増殖におけるROSの役割について検討した(第一章)．造血幹/前駆細胞の分化・増殖を誘導するサイトカイン存在下では，X線照射造血幹/前駆細胞は増殖能とクローン形成能を劇的に減少させた．その時の細胞内活性酸素種は，非照射造血幹細胞内と比較して培養時間経過とともに有意に増加した一方，細胞内ミトコンドリアやミトコンドリア由来の活性酸素種は非照射造血幹細胞内と比較して有意な増加は示さなか った． DNA損傷は，X線照射直後に最も多く確認され培養時間経過とともに減少したが損傷の残存が認められた．次に，ミトコンドリアDNA及びその転写関連遺伝子，抗酸化酵素遺伝子の発現と造血幹/前駆細胞の放射線応答との関連を検討した(第二章)．ミトコンドリア電子伝達系全体の律速段階となっている複合体1のタンパク質をコードする遺伝子の発現は，照射細胞と非照射細胞間で有意な差は認められず同等のレベルを示した一方，ミトコンドリアDNAのゲノム安定性や抗酸化ストレスに関わる遺伝子の発現が上昇しており，放射線によるミトコンドリアの機能異常を抑制，緩和している可能性が示唆された． 本研究の結果，放射線ばく露ヒト胎盤/臍帯血由来CD34陽性造血幹/前駆細胞の分化/増殖過程において，ミトコンドリア生合成及びミトコンドリア由来活性酸素種の異常生成は抑制されており，放射線による細胞のDNA損傷及び持続的な細胞内活性酸素種の異常産生が幹細胞機能破綻を引き起こしている可能性が示唆された．

Review Article, 加齢に伴い骨格筋量と筋力は減少する。これはサルコペニアとよばれ、高齢者の転倒事故による骨折、寝たきりの主要な原因となっている。一方、個体の骨格筋量や筋力には個人差があり、これは身体活動レベルや栄養摂取状況などの環境要因とともに遺伝要因の重要性が唱えられている。本稿では、骨格筋量ならびにサルコペニアの予防を意識した運動トレーニングの効果への遺伝子の関わりについて概説する。

NPO法人チェルノブイリ救援・中部, [講演概要]

熱ショック応答は,熱ショック因子(heat shock factor,HSF)によって転写のレベルで調節され,蛋白質フォールディングを介助する熱ショック蛋白質(heat shock protein,HSP)の誘導を特徴とし,同時に蛋白質分解を含むさまざまな機能を担う蛋白質の誘導も伴う.したがって,細胞の蛋白質ホメオスタシスの鍵となる因子である.それだけでなく,HSFは,脳,生殖器,感覚器などの個体発生と維持に重要な役割も担っている.我々の研究を含む成果から,HSPの主要な制御因子であるHSF1が免疫･炎症反応の調節に必要であること,その一部はHSF1によるTNFαなどの主要な炎症性遺伝子の抑制によるものであることがわかった.さらに,我々は,温熱ストレスによって活性化したHSF1が転写因子ATF3を発現誘導し,それらが発熱性因子であるIL-6を含む多くの炎症性遺伝子の発現を直接及び間接的に抑制すること,そしてその経路のマウス個体での重要性を明らかにした.生理的な発熱反応が,過剰な炎症反応を抑制する分子機構について議論する., Febrile response is a complex physiological reaction to disease including a cytokine-mediated rise in body temperature and activation of inflammatory systems. Fever has beneficial roles in terms of disease prognosis, partly by suppressing expression of inflammatory cytokines. However, the molecular mechanisms underlining fever-mediated suppression of inflammatory gene expression have not been clarified. We showed that heat shock suppresses lipopolysaccaride(LPS)-induced induction of interleukin-6(IL-6), a major pyrogenic cytokine, in mouse embryo fibroblasts and macrophages. Heat shock transcription factor 1(HSF1) activated by heat shock induced activating transcription factor 3(ATF3), a negative regulator of IL-6, and ATF3 was necessary for heat-mediated suppression of IL-6, indicating a fever-mediated feedback loop consisting of HSF1 and ATF3. When HSF1-null and ATF3-null mice were injected with LPS, they expressed much higher levels of IL-6 than wild-type mice, resulting in an exaggerated febrile response. These results demonstrate a feedback mechanism of the inhibition of inflammatory and febrile response.

[抄録] 目的：自己免疫性甲状腺疾患（AITD）患者における膵島自己免疫の実態を明らかにする．方法：AITD 患者866人（バセドウ病患者546人，橋本病患者320人）と非自己免疫性甲状腺疾患患者221人を対象にGAD 抗体陽性率と抗体価を比較するとともに，抗体陽性AITD 患者の臨床的特徴及びHLA-DRB1，DQB1 とCTLA4 の遺伝子型を陰性者と比較．成績：GAD 抗体陽性率はAITD 患者で対照者に比し有意に高率（5.8％ vs. 0.6％，P＜0.001）．糖尿病有病率はGAD 抗体陽性者において陰性者に比し有意に高率（40.0％ vs. 10.1％，p＜0.0001），陽性者の中では高抗体価群で低抗体価群に比し有意に高率（64％ vs. 16％，p＝0.001）．GAD 抗体陽性AITD 患者は陰性患者に比し，糖尿病発症年齢が有意に若く，BMIが有意に低く，HbA1c値，インスリン使用率が有意に高値．DRB1＊0405-DQB1＊0401ハプロタイプはGAD 抗体陽性AITD 患者で抗体陰性者，対照者に比し有意に高頻度．CTLA4 の6230G＞A 多型（rs3087243）はAITD と有意の関連を示したが，GAD 抗体の有無とは関連を認めなかった．結論：AITD 患者ではGAD 抗体が高率に陽性を示し，抗体陽性者は１型糖尿病の臨床的，遺伝的特徴を有することが示された．

研究成果の概要 (和文) : 転写酵素RNAポリメラーゼの転写対象遺伝子群の選択は、転写因子との相互作用によって決定される。約300種類の大腸菌転写因子のうち、約100種は制御機能未知である。本研究では、機能未知転写因子が認識する配列から制御機能を同定するGenomic SELEX法を開発した。純化転写因子を利用した解析から、各転写因子の制御対象遺伝子群の同定に成功したことで、ゲノム転写包括制御の全貌解明の展望が開けた。

ショウジョウバエの発生遺伝学的研究に携わってから、早や40年余り経過した。最も本格的な研究を始めたのは、留学先のカナダのアルバータ大学から帰国した1965年以降である。以後、甲南大学加地早苗教授を中心として共同研究を続けてきた。本文では私たちが行って来た研究のうち、特に重要と思われるものを取り上げて総括した。重要課題についてはその研究に到る背景、経緯を含めて回想した。文中では研究成果とはいささかかけ離れた話題もあるが、冗長とお感じの方は目をつぶって耐えていただくようお願いしたい。

Review Article, 光学顕微鏡レベルでのアルツハイマー病（Alzheimer s disease；AD）の病理学的変化として３つ挙げることができる。一つは老人斑、二つ目は神経原線維変化、三つ目は神経細胞の脱落である。家族性アルツハイマー病の原因遺伝子として、主にアミロイド前駆体タンパク質（APP）、プレセニリン（PS）が知られている。老人斑はAPPが切断されてできるbアミロイド（Ab）が沈着したものである。APP遺伝子の変異は、このAbの相対的産生量を増加させることと、より凝集性が高いタイプのAb42の産生量を増加させる。また、PS変異はAb42の産生量を増加させる。さらにAPP遺伝子変異やPS変異とタウタンパクが相互作用することで神経原線維変化や神経細胞の脱落を引き起こすことが明らかとなった。本稿では、ADの病理学的特徴とこれらの遺伝子の分子機構について概説した。

Recently, there are many electric appliances in human living environment. Various low frequency electromagnetic fields are emitted from those devices. It have been suspect for a long time that environmental exposure of Extremely Low Frequency ElectroMagnetic Field (ELF-EMF) emitted from the appliances may have harmful biological effects. ELF electromagnetic radiation haves received high interest due to growing concern on the harmful biological effects on both human and animal health. This study describes that ELF-MF (50 Hz) to the pregnant mice has teratogenic effects on the developing embryos. The magnetic field exposed dose of 2.0 mT in this experiment. Fetuses were continuously exposed with alternation magnetic field in utero from 7.5 to 18.5 days of pregnancy. Mice were autopsied on 18.5 days of pregnancy. Control mice received sham exposure with the same schedule as that of exposed. The mouse was sacrificed by overdose ether anesthesia and the fetuses were removed for morphological observation. The skeleton of fetuses was doubly stained with alcian blue and alizarin red S. The specimens were observed under a stereomicroscope. The malformed rates of fetuses of irradiation group increased more significantly than control group. The exposure group had anomalies including gastroschisis and curled tail., 資料番号: AA0063965019

現在、ドイツの連邦議会では遺伝診断法案と解明手続の新設が話題になっている。共に遺伝子情報を扱うものである。遺伝子診断法案については様々な分野からの批判がある。そして、解明手続の新設は、２００７年２月１３日にドイツ連邦憲法裁判所の判決が下されたのに伴って審議されているが、この手続の新設についても多くの問題が指摘されている。どちらの法案も「情報自己決定権」、特に「知らずにいる権利」に関わるものである。, Today "Gendiagnostikgesetz" and "das Gesetz ueber die Klaerung der Vaterschaft", that are concerned with Gene-information, are objects of discussion in "Bundestag". People of in many areas are opposition to draft of "Gendiagnostikgesetz", after "Bundesverfassungsgericht" has decided at 2007 Feb. 13. And "Vaterschaftsklaerungsverfahren" contains many problems, too. Both of drafts refer to " das informationelle Selbstbestimmungsrecht", especially "Recht auf Nichtwissen".

In February 2008, 'Cell Wall Experiment' is scheduled to be launched and conducted using EMCS (European Modular Cultivation System) in ISS (International Space Station). The main aim of this experiment is to elucidate the molecular mechanism by which supporting tissues in land plants are constructed and maintained in response to gravitational conditions. In this paper, an outline of our space experiment and biological background are described, together with a perspective of how this project will contribute to both pure and applied life sciences., 資料番号: AA0063706109

Both true microgravity conditions in space (STS-95 space experiment) and simulated ones using a three-dimensional (3D) clinostat induced automorphosis together with significant inhibition of auxin polar transport in epicotyls of etiolated pea (Pisum sativum L. cv. Alaska) seedlings. Increased expression of the auxin-inducible gene PsIAA4/5 was observed in the elongated side of epicotyls in the early growth stages of etiolated pea seedlings grown in a horizontal or an inclined position under 1 g conditions. Under simulated microgravity conditions on a 3D clinostat, accumulation of PsIAA4/5 mRNA (messenger Ribonucleic Acid) was found throughout epicotyls showing automorphosis. Polar auxin transport in the proximal side of epicotyls changed when the seedlings were grown in a horizontal or an inclined position under 1 g conditions, but that under clinorotation did not, regardless of the direction of seed setting. Accumulation of PsPIN1 and PsPIN2 mRNAs in epicotyls was affected by gravistimulation, but not by clinorotation. Under 1 g conditions, auxin-transport inhibitors made epicotyls of seedlings grown in a horizontal or inclined position grow toward the proximal direction to cotyledons. These inhibitors led to epicotyl bending toward the cotyledons in seedlings grown in an inclined position under clinorotation. Polar auxin transport, as well as growth direction, of epicotyls of the agravitropic pea mutant, ageotropum, did not respond to various gravistimulation. These results strongly suggest that alteration of polar auxin transport in the proximal side of epicotyls regulates the graviresponse of pea epicotyls. It is also possible that one-way lateral auxin distribution in epicotyls in the early growth stage of etiolated pea seedlings is responsible for graviresponse of the seedlings., 資料番号: AA0063706114

Resistance to the gravitational force is a principal graviresponse in plants, comparable to gravitropism. Nevertheless, only limited information has been obtained for this graviresponse. The present study aims to clarify the mechanism of signal transformation and transduction processes, with reference to the roles of the plasma membrane and cortical microtubules. Under hypergravity conditions, the expression of genes encoding 3-Hydroxy-3-MethylGlutaryl-Coenzyme A Reductase (HMGR) was up-regulated, and the level of membrane sterols was kept higher, without influencing the level or composition of other membrane components. On the other hand, the expression of the majority of alpha- and beta-tubulin genes was up-regulated and the percentage of cells with longitudinal cortical microtubules was increased by hypergravity. Also, increases in the level and molecular size of anti-gravitational xyloglucans and 1, 3, 1, 4-beta-glucans by gravity were brought about by suppression of their breakdown with their constant or enhanced biosynthesis. We have further examined the role of membrane sterols and cortical microtubules in gravity resistance using Arabidopsis mutants. Elongation growth of both hmg and tubulin mutants was suppressed even under 1 g conditions, and hypergravity did not influence their growth, suggesting that the mutation made plants hypersensitive to the gravitational force. The analysis with mutants has also revealed that the signal transduction process via membrane sterols is distinct from that via cortical microtubules. These results indicate that membrane sterols (rafts) and cortical microtubules are deeply and independently involved in maintenance of normal growth capacity against the gravitational force., 資料番号: AA0063706113

Studies of our working group are aimed at understanding the graviperception mechanism and its interactions with other gravity-influenced phenomena of growth and development of plants. Our collaborative works will bring about hypotheses on the molecular mechanisms underlying plant responses to gravity, which will be further verified by spaceflight experiments. This approach will also lead to the establishment of technology useful for controlling plant growth and development in space. Our achievements in this year include identification of novel genes responsible for gravitropic response in shoots and roots, finding the roles of auxin efflux carriers in automorphogenesis, gravimorphogenesis (peg formation) and hydrotropism, and demonstrating the gravity-dependent release from apical dominance., 資料番号: AA0063706115

植物は細胞壁の物理的な強度によって自らの体を支えている。我々は、シロイヌナズナ花茎の支持組織の細胞壁構築において重要な役割を担う遺伝子の解析を重点的に進めている。マイクロアレイ法を用いた2種類のスクリーニングによって、花茎支持組織の細胞壁構築に特に重要である考えられる数種の遺伝子を同定した。プロモーター::GUS(β-glucuronidase)形質転換体を用いた細胞レベルでの発現解析では、各遺伝子が独自の細胞特異的発現を有することを明らかにした。また同定された遺伝子について逆遺伝学的な機能解析を行なったところ、グリシンリッチタンパク質が原生木部の細胞壁の構造に関与していて、それ故、木部における物質輸送に必須なものであることを示唆する結果を得た。, Cell wall confers mechanical strength to the plant tissues, and thereby offer support to the aerial portion of the plant body. We have focused our research effort on a set of genes that play important roles in specific aspects of cell wall construction in supporting tissues of the inflorescence stem of Arabidopsis. Results from two microarray screenings identified several key candidate genes responsible for cell wall formation in supporting tissues of the inflorescence stem. We examined expression profiles of promoter::GUS (beta-glucuronidase) fusion constructs for each of the genes. The results indicated that each of the genes exhibited distinct expression patterns in terms of cell specificity. Reverse genetics analysis for function of the genes indicated that glycine-rich protein modifies mechanical strength of the cell wall in protoxylem in basal of the stem, thereby providing a conduit for the translocation of water and nutrients., 資料番号: AA0063338001, レポート番号: JAXA-SP-06-032

本研究では、微小重力下で根の水分屈性と重力屈性を分離し、水分屈性に対する重力屈性の干渉作用を検証し、それぞれの場合のオーキシン制御遺伝子の発現変化をオーキシン動態として捉え、両屈性におけるオーキシンの役割からそれぞれのメカニズムを明らかにするとともに、微小重力下における根の伸長方向を水分屈性により制御することを可能にするための宇宙実験を実施することを目的としている。そのために本年度は、宇宙実験計画書のベースライン化を行うとともに、これまでの検討・指摘事項を中心に、EMCS(European Modular Cultivation System)用GRAVIチャンバー模型およびCBEF(Cell Biology Experimental Facility)/V-MEU用チャンバーを試作し、供試植物材料としてキュウリ芽生えを用いて水分屈性実験を行った。またクリノスタット実験によって、キュウリ芽生えの根の重力屈性と水分屈性を分離し、両屈性におけるオーキシンの役割を検証した。その結果、本研究目的を達成するためにキュウリ芽生えを用いることが可能であること、キュウリの根の水分屈性にはオーキシンの輸送・作用が重要な役割を果たし、それらを重力屈性から分離して解析するために宇宙実験が有用であることが強く示唆された。一方、シロイヌナズナにおいては、根の水分屈性にオーキシンが重要な役割を果たすが、そのためのオーキシン動態はキュウリの場合とは異なるメカニズムによって制御される可能性が見出された。加えて、根の水分屈性に特異的且つ必須の遺伝子(MIZ1: MIZU-KUSSEI1)を世界ではじめて同定した。, Using space environment, we will separate the hydrotropic response mechanism from that of gravitropism for understanding the regulatory mechanisms of root growth orientation and determine whether hydrotropic response can be used for controlling orientation of root growth in microgravity. To achieve these objectives, we established an experimental system with cucumber seedlings and examined the role of auxin in root hydrotropism. In cucumber roots, hydrotropic response was separated from gravitropism by nullifying gravitropic response due to clinorotation. As reported for root gravitropism, it was confirmed that auxin transport and action played important roles in hydrotropism of cucumber roots. Auxin-inducible gene, CsIAA1, was indeed expressed more abundantly on the high-water potential side of the root than the lower-water potential side in the presence of moisture gradient. This implies that there is a competition in auxin redistribution due to gravistimulation and hydrostimulation in cucumber roots, which may accounts for counteracting effects of the two tropisms. Our results suggest that these two counteracting factors can be distinguished in microgravity. On the other hand, Arabidopsis roots may possess a regulatory mechanism for auxin dynamics different from that of gravitropism or cucumber roots. In addition, we identified a gene (MIZ1: MIZU-KUSSEI1) specifically functional and essential for hydrotropism in roots. The MIZ1-involved pathway is therefore independent of gravitropic one. Furthermore, we developed experimental chambers to be used within EMCS (European Modular Cultivation System) or CBEF (Cell Biology Experimental Facility) for hydrotropism experiments of cucumber roots and succeeded in inducing their hydrotropic curvature in the vessels., 資料番号: AA0063339002, レポート番号: JAXA-SP-06-033

Radiation (gamma-rays and neutron) induced morphological and functional damage, mutations and change of gene expression in the human thyroid tissues maintained in improved SCID (Severe Combined Immunodeficient) mice. Microsatellite mutation and leukemia were first detected significantly in F(sub 1) progeny of N5 male mice exposed to 0.4 Gy of fission neutron., 資料番号: AA0063349085

DSB (Double Strand Break) was introduced by the I-Sce I expression vector, pCMV3xnls-I-Sce I. Repair of DSB at the I-SceI site inserted at intron 4 of the tk+ allele in human lymphoblstoid TK6 cell line, TSCE5, was measured by induction of TK-deficient mutants. Similarly we also measured the revertants due to such repair in its compound heterozygote (tk-/-) cell line, TSCER2, which carried an additional point-mutation in exon 5. The former and later measurements reflect the DSB repair efficiency due to DNA End-Joining (EJ) and Homologous Recombination (HR), respectively. The pre-treatment, gamma-irradiation with 30 mGy at a dose rate of 1.2 mGy/hr did not influence the EJ repair efficiency but enhanced HR repair efficiency, approximately 50 percent. The I-SceI digestion followed by much lower dose(/dose-rate) gamma-irradiation (8.5 mGy at 0.125 mGy/hr) during the incubation tesulted in a similar tendency of HR enhancement (approximately 50 percent). This kind of treatment, introducing the chromosome break by the restriction enzyme, can be regarded as a useful approach for elucidating the influences of space environments on the DSB repair., 資料番号: AA0063349087

植物は細胞壁の物理的な強度によって自らの体を支えている。我々は、マイクロアレイ解析によって、シロイヌナズナの花菜を支えている組織において細胞壁の構築に重要な役割を果たす遺伝子群を同定した。これらの中には、花茎木部の2次細胞壁の肥厚やリグニン化に関与すると報告されている遺伝子が含まれていた。花茎を横倒しにすることによって、これらの遺伝子の発現が顕著に抑制された。このことは、花茎の重さ自体が支持組織の細胞壁の強度を制御していることを示唆するものであった。同定された遺伝子について逆遺伝学的な機能解析を行なったところ、グリシンリッチタンパク質が原生木部の細胞壁の構造に関与していて、それ故、木部における物質輸送に必須なものであることを示唆する結果を得た。, Cell wall confers mechanical strength to the plant tissues, and thereby offer support to the aerial portion of the plant body. Using gene-specific oligonucleotide microarray system, we identified a set of genes that play important roles in specific aspects of cell wall construction in supporting tissues of the inflorescence stem of Arabidopsis. Some of the genes were reported to be involved in secondary wall deposition or lignification of xylem cells of the inflorescence stem. The expression of these genes sharply decreased when the inflorescence stem are placed horizontally. The results suggest that the weight carried by the upper part of the stem may be a signal for the induction of cell wall rigidification in supporting tissues of the stem. Reverse genetics analysis for function of the genes indicated that glycine-rich protein modifies mechanical strength of the cell wall in protoxylem in basal of the stem, thereby providing a conduit for the translocation of water and nutrients., 資料番号: AA0049799003, レポート番号: JAXA-SP-05-037

DNAマイクロアレイによる10,368個の遺伝子の発現解析を行うことで、宇宙放射線特有の低線量、低線量率放射線の発現誘導または抑制される遺伝子を網羅的に解析するとともに、ほ乳動物細胞の培養条件および凍結の影響についてもあわせて解析を行った。その結果、国際宇宙ステーション内の予想被曝線量(約0.2〜0.5mSv/day)においても形質発現が変動する遺伝子があることが明らかになった。, To identify the biological effect of low dose-rate irradiation, we analyzed the gene expression using DNA micro array. Human cultured lymphoblastoid cells TK-6 were irradiated with gamma-ray (dose-rate, 0.2 or 0.5 mGy/day; irradiation time, five days) in flask or tube bag. As results, we demonstrated that there were many kinds of genes which expressed different levels by expected doses (0.2 to 0.5 mSv/day) at ISS., 資料番号: AA0049800001, レポート番号: JAXA-SP-05-039

本研究では、これまで多く指摘されている宇宙空間での筋萎縮に注目し、無重力による筋萎縮の新規メカニズムを実証し、その予防の可能性を探ることを目的としている。2005年度では、ISSにおけるフライト実験実施に向けた実験計画のベースライン化を目指し、次に挙げる地上予備研究を行った。(1)宇宙実験施行時に合わせたRNA回収条件を確立するため、ISOGENを用いた時とRNA Laterを用いた時の回収率の違いを検討、(2)筋萎縮に重要なユビキチンリガーゼCbl-bの発現調節機構を明らかにするため、酸化ストレスと3DクリノローテーションによるCbl-bの発現調節を解析、(3)骨芽細胞におけるユビキチンリガーゼCbl-bの機能として、ユビキチンリガーゼCbl-bが無重力による筋萎縮だけでなく、骨萎縮にも重要な働きをしていることを明らかにした。, In the present study, we hypothesize that Cbl-b mediated ubiquitination plays an important role of atrophy during spaceflight. To examine our hypothesis, we proposed and designed a flight experiment. In this section, we report that the result of studies (1) confirmation of the method of RNA extraction from flight samples, (2) analysis of Cbl-b gene expression under oxidative stress or simulated microgravity, (3) Cbl-b has a important function in bone atrophy mechanism not only muscle atrophy., 資料番号: AA0049199002, レポート番号: JAXA-RR-05-033